熱溶解方式とは?種類や光造形方式との違い、造形物のイメージなど基礎を解説

2024.8.30

3Dプリンタに興味のある方なら「熱溶解方式」という単語を聞いたことがあると思います。
この記事では、熱溶解方式の基礎と、光造形方式との違いを解説します。
造形物のギャラリーコーナーも用意しましたので、3Dプリンタ選びの参考にしてみてください。

熱溶解方式の3Dプリンタとは

熱溶解方式とはFFF方式とも呼ばれる方式で、もっとも一般的に使用されている3Dプリンタです。

FFF方式とは、「フィラメント溶解製法方式」の略で、リール状に巻かれたフィラメントを熱で溶かし、
それを1層ずつ積み上げて造形を行う造形方式になります。

この方式では、PLAなどの固形樹脂を熱で溶かし、リール状に巻かれたフィラメントをノズルから一層ずつ重ねていきます。
ソフトクリームを重ねる状態をイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。

造形サンプル(クリックで画像全体を表示)

熱溶解方式の3Dプリンタの特徴

この方式の特徴は、扱いやすさが抜群に良い、ということです。

操作の習得が容易で、今まで3Dプリンタを使用したことがない方であっても、簡単に使い始められるこのが一番の特徴です。

他には、比較的低価格で本体を購入できるものが多い、様々な材質で造形できる、比較的大きいものを造形できる、
造形が簡単、カラーバリエーションが豊富などがあります。

熱溶解方式による3Dプリントの3つのメリット

代表的なメリットをご紹介します。

1.価格が比較的安価:

機器本体が比較的低コストで、個人ユーザーや教育機関、スモールビジネスにとって導入しやすい価格帯となっています。
付帯設備も必要としないため、本体のみの運用が可能です。

また使用する材料も安価なものが使用できる機種が多く、通販サイトなどで販売されているような
低価格な材料を使用することができます。

2.使いやすさ:

操作が直感的で、特別なトレーニングを必要としないため、3Dプリンティング初心者にとって理想的です。
3Dデータがあれば誰でも簡単に3Dプリンティングが開始できる手軽さがあります。

3.広範な材料選択:

PLA、ABS、PETG、TPUなどさまざまな熱可塑性フィラメントが使用できます。
これにより、より耐久性のある部品や機能性の高いプロトタイプを作成することができます。

最近ではエンプラやスーパーエンプラをプリントできる機種も存在し、活用の幅が広がっています。

熱溶解方式による3Dプリントのデメリット

ここまで扱いやすさや低価格であることを紹介してきました。
一方、デメリットとしては、造形物に積層痕が残りやすいことや、造形方式による異方性が発生してしまうことなどが挙げられます。

また、他の造形方式の3Dプリンタと同様、量産には向かないということも挙げられます。

ただし、積層痕については痕が残りにくい機種を選ぶこと、異方性についてはプリントノウハウで対応すること、
量産に関しては造形が早いプリンタや造形エリアの広いプリンタを選択することで解消できます。

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熱溶解方式と光造形方式の違い

造形方法

熱溶解方式

光造形(SLA)方式

熱溶解方式

線状のフィラメント材料を熱で融解してソフトクリームのように積層していく3Dプリント技術です。

熱溶解方式方式は一般的に多くの方が3Dプリンタといったら連想する造形方式になります。

光造形方式

紫外線に反応して硬化する液体樹脂を使って造形する3Dプリンティング方式。

熱溶解方式や粉末造形法などの著名な造形手法の3Dプリンタは固形の材料を使用する一方、光造形は液体レジンを使用するのが特徴です。

扱う素材

熱溶解方式3Dプリンタ用フィラメント

光造形(SLA)方式3Dプリンタ用レジン

熱溶解積層方式
実際のプラスチックと同質のフィラメントが多数揃っており、汎用プラスチックから
スーパーエンジニアリングプラスチックまで、工業用に最適な材質から選べます。

光造形方式
アクリル系のレジン材料が中心ではあるが、柔軟性を持つ素材のプリントが可能であったり、
素材によっては生体適合性のある素材も出力することができます。

熱溶解方式の3Dプリンタの応用分野

熱溶解方式の3Dプリンタの産業への影響

熱溶解積層方式の3Dプリンタは、製造業に大きな影響を与えています。
以下にその主な例をいくつかご紹介します。

製品開発のスピードアップ

3Dプリンタを使用することで、製品のプロトタイプを迅速に作成し、市場投入までの時間を短縮することが可能になります。

コスト削減

FFF方式の3Dプリンタは、比較的低コストで利用できるため、ランニングコストを抑えることができます。

素材・カラーの自由度が高い

FFF方式の3Dプリンタは、幅広い材料に対応しており、色数に合わせてモデルをリリースしている
メーカーもあり、非常に完成度の高い出力が可能です。

強度が高い

FFF方式の3DプリンタはABS樹脂に対応しているため、強度が高い完成品を造り出すことが可能です。

これらの要素は、製造業における生産性の向上、製品の品質向上、新製品の開発スピードの向上など、
産業全体に対する大きな影響を及ぼしています。

また、これらのメリットは、製造業だけでなく、医療、建築、教育など、さまざまな分野における
3Dプリンティングの利用拡大にも寄与しています。

熱溶解方式の3Dプリンタの活用方法

3D CADのデータを使用してデザインレビューをすることは可能ですが、より現物に近いものを使用することで、
製品レビューはより具体的になり、その意見が製品開発に反映されます。

また試作品を外部パートナーに依頼すると、費用も時間もかかってしまいますが、3Dプリンタを活用することで、
そのコストと時間は大幅に削減することができます。

昨今では使用できる素材が幅広くなってきていることから、強度が必要な部分にも活用の範囲は広がっています。
治具や保守パーツ、または最終製品に活用されることも多くなってきています。

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事例】3Dプリンタ で試作や治具製作が半日~1日で!(株式会社メトロール様)

熱溶解方式の3Dプリンタの未来展望

3Dプリンタ技術は製造業において革命的な変化をもたらしています。
特に、精密な製造が求められる分野でのその影響は顕著です。
高精度な熱溶解方式の3Dプリンタが各社から発表されているのがその表れと言えます。

また、3Dプリンタの進化は、材料の多様化にもつながっています。
機能性材料をプリントすることで、従来の3Dプリンタでは使用できなかった範囲まで
3Dプリンタの技術が適用できるようになってきております。

3Dプリンタ技術は従来の製造プロセスを変革し、製品開発のスピードと柔軟性を高めることに寄与します。
今までは実現できなかったことが3Dプリンタの技術を活用することで可能になってきています。

熱溶解方式と光造形方式3Dプリンタのよくある質問

熱溶解方式積層方式と光造形方式、どちらがおすすめ?

比較の対象になることが多いこの二つの造形方法ですが、熱溶解積層方式と光造形方式のどちらがおすすめかは、
使用目的や必要な精度、予算などによります。

熱溶解方式が向いている方

  • より高精度なものを印刷したい
  • 高強度な成果物が欲しい
  • 様々な材料で印刷したい

光造形方式が向いている方

  • 手軽に使用したい
  • 透明な部品を印刷したい
  • 透明な部品を印刷したいい

大きな部品や強度が必要な部品を作りたい場合はFFF方式がおすすめです。
一方、意匠面を重要視するものや、より高精細な部品や透明な部品を作りたい場合は光造形方式がおすすめです。
どちらの方式もそれぞれに利点と欠点がありますので、用途によって選択することが大切です。

どういった選択をすればよいかわからなければ、是非弊社「3Dプリンタ選定コンシェルジュサービス」をご利用ください。
お客様にマッチするプリンタ選びのお手伝いをさせていただきます。

熱溶解方式と光造形方式のコストは?

熱溶解方式の3Dプリンタは後処理の為の付帯設備を使用しないことからも、一般的には光造形方式の3Dプリンタに比べ安価に導入が可能です。

まとめ

熱溶解方式の3Dプリンタは比較的手ごろな価格でお求めやすく、初心者でも簡単に使用できる3Dプリンタです。

その他方式の3Dプリンタの場合は、洗浄作業や清掃作業が必要なものも多く、それと比べて、
FFF方式のプリンタはサポート材を除去するだけで、造形物がすぐに使用できるのが特徴です。

また、造形を行うだけであれば、専門的な知識やノウハウもそこまで必要にならない為、すぐに操作方法を取得できる点や、
操作方法さえ取得してしまえば誰でも同じように造形が可能な点もメリットの一つです。

熱溶解方式の3Dプリンタは初めての3Dプリンタを検討している方や、プリンタを社内の複数の方と共同で使用したい方にオススメのプリンタです。

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3Dプリンタについて疑問やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。

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