体温計スタンド作ってみた話【導入編】

2021.9.16

リバースエンジニアリング

オリジナル体温計スタンド製作

#3DCAD #3Dスキャナー #SOLIDWORKS #Markforged #リバースエンジニアリング

今回のテーマ



このコロナ禍でよく見かけるようになった非接触型体温計。テクノソリューションズでも各営業所に常備しております。数千円で購入することができて操作も簡単、お越しいただいたお客様の額にピッとあてればOKです。さっと検温できて便利なのですが、⽴てた状態で置けたらもっと便利なのにな…。


「よし、作ろう。体温計スタンド!」


ということで、今回は弊社エンジニアが3Dスキャナーと3D CADと3Dプリンタを駆使して製作した、体温計スタンドについてご紹介したいと思います。

製作のきっかけ



~ある日の大阪営業所にて~

:この体温計さぁ、立てておけたら便利だよね。
:確かにそうですね。
:スタンドがあればええんちゃう?作ってよ。
:(スタンド?確かに立たせたいけど、仰々しくはしたくないなぁ・・)
   (どうせなら単体で立てるようにした方が置き場所が自由だし・・)
   (どうやって固定する?曲面だし測れないし)
   (!3Dスキャナーでモデルデータを作ってぴったりはまるケースをつくれば)
   (ぴったりはまるか?ねじとか使いたくないなぁ・・)
   (Onyxなら柔軟性あるし、クリアランスと肉厚を調整すればちょうどはまるものができるのでは?)
   ※ここまで一瞬の思考
:3Dスキャナーでリバースモデリングしましょう。
   アイデアはこんな感じ。(さらさらっとラフスケッチを描いて見せる)
:そういうことね。デザイナーやなぁ

アイデア出し



思案の末、グリップに「つば」が付いたものを下からはめこむアイデアに落ち着きました。Markforged社プリンタ用のOnyxなら、薄く作れば弾⼒もあるので、何とかなるでしょう。⼩指の下なら⼩さな突起があっても邪魔にならないことも確認しました。


ついでにフックにかけられるようにしたら、もっと便利なのでは︖というアイデアも盛り込んで、コンセプトを絵にしたのがこちら。


さて、アイデアが固まったらモデリングです。以前作ったパーツ(参照:「3D CADと3Dプリンタで部品を作ってみた話」)は、ものさしやノギスで各部の⼨法を測定することで再現できる形状でしたが、今回の体温計のグリップ部分は曲⾯で構成されており、⼨法で表すことができません。


そこで使ったのが、冒頭のアイデアでも挙げていた「3Dスキャナ」です。

3Dスキャナー「HandySCAN 3D」

3Dスキャナーを使う



といっても、⼤阪営業所に3Dスキャナーを常備しているわけではありません。当時スキャナーがあった名古屋営業所のスタッフにお願いして、体温計のグリップ部分をスキャンしてもらいました。3Dスキャナーが取り込むデータは点群(またはメッシュ)です。SOLIDWORKSでも⼀定程度までの点群データは直接読み込むことができますが、あまり多いと現実的なレスポンスで扱えません。通常、スキャンしたデータは点群やメッシュデータの編集に⻑けたソフトウェアを⽤いて、 CADで扱いやすい”キレイな”データに作り直して、CADにエクスポートします。弊社では「DesignX」をおすすめしています。 このソフトウェアを駆使すると、SOLIDWORKSで編集できる”履歴のある”、”きれいな”データを作成することができます。

今回はこの「リバースモデリング」までをまるっと名古屋営業所のエンジニアにお願いしちゃいました︕
Tさん、ご協⼒ありがとうございました。

続編を公開しました



次は実際に体温計をスキャンした名古屋のTさんによる実作業のご紹介です。
 体温計スタンド作ってみた話【スキャン編】

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