中小企業向け補助金活用ガイド

開発(サービス)

事業を運営する上で、

新しい機材や設備を導入したい

・販路を拡大したい

・デジタル化を進めたい

など、さまざまな課題に直面することは少なくありません。しかし、資金調達の壁が大きなハードルとなることはありませんか?

そんなときに活用したいのが「補助金」です。国や自治体が提供する補助金制度をうまく活用することで、事業拡大や競争力強化の大きな助けになります。しかし、補助金には多くの種類があり、どれを選べばいいのか、どのように申請すればよいのか分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか?

本コラムでは、中小企業の皆さまが補助金を活用するために役立つ情報を分かりやすく解説します。補助金の基本から最新情報、申請時のポイントまでご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

補助金の種類(2025年度版)

補助金名概要補助率・上限額
ものづくり
補助金
生産性向上のための革新的なサービス開発、試作品開発、生産プロセスの改善等を行う中小企業を支援。補助率:1/2~2/3
上限額:
750万円~2,500万円(製品・サービス高付加価値化枠)、
3,000万円(グローバル枠)
IT導入補助金中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際の経費の一部を補助し、業務効率化や売上向上を支援。補助率:1/2~2/3
上限額:450万円
小規模事業者
持続化補助金
小規模事業者が経営計画に基づいて行う販路開拓等の取り組みを支援。補助率:2/3
上限額:50万円~200万円、5000万円(共同型)
事業承継・引継ぎ補助金事業承継・引継ぎ後の設備投資や専門家活用費用等をサポート。
前年より大幅に補助上限が引き上げ。
補助率:2/3
上限額:2000万円
省力化投資
補助金
人手不足解消に向け、IoTやロボット等の導入を支援。補助率:1/2~2/3
上限額:1億円
成長加速化
補助金
売上高100億円を目指す中小企業の大規模な設備投資を支援する新しい補助金制度です。上限額:5億円
新規事業進出
補助金
事業再構築補助金が今年3月上旬に終了。その後継制度として新たに登場!上限額:9000万円
※補助率や上限額は制度や公募回によって異なる場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。

補助金とは、政府や自治体が特定の目的を達成するために企業に提供する資金援助です。中小企業が利用できる補助金は多岐にわたります。例えば、設備投資の支援を目的とした設備導入補助金や、IT化やDX化を推進するためのものなどがあります。企業の競争力や成長を加速させるために、新しい技術や革新的なプロジェクトを推進し設備を導入して研究や開発の幅を広げていく。そのために補助金をうまく活用することができれば、資金面でのリスクを軽減しながら、持続可能な経営を実現することが可能になると言えるのではないでしょうか。ここからは主に弊社取扱商品にてご活用いただけるような補助金をご紹介います。

※当社製品のご購入に際し、ご利用いただける可能性のある補助金についてご案内しておりますが、以下の点にご注意ください。

  • 補助金の内容や条件は変更されることがあります。(本稿執筆2025.03.19現在の情報です)
    国や自治体等が提供する補助金は、随時制度が改定される場合があります。最新の情報は必ず公式サイト等でご確認ください。
  • 申請期限前に受付終了となる場合があります。
    補助金は予算枠が上限に達した時点で受付が終了することがあります。申請を検討される場合は、提供元に事前にご確認ください。

ものづくり補助金

ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業や小規模事業者が革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの改善を行う際の設備投資等を支援する制度です。​2025年度(第19次公募)も継続が決定しており、以下のような特徴や変更点があります。

1. 補助金額・補助率

  • 補助上限額
     750万円~2,500万円(製品・サービス高付加価値化枠)、3,000万円(グローバル枠)
  • 補助率
    • 小規模事業者:2/3
    • 中小企業:1/2​
    • ただし、最低賃金の引き上げに取り組む事業者には、補助率が2/3に引き上げられます。 ​

2. 申請枠の統合

これまでの「オーダーメイド枠」が廃止され、「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つに統合されました。最大で4000万円までの上限となります。

3. 収益納付の廃止

2025年度から、補助金を受けた事業で得た収益の一部を国庫に納付する「収益納付」の制度が廃止され、事業者の負担が軽減されます。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、販路拡大や業務効率化を目指す小規模事業者を支援する制度です。2025年度から、申請枠の整理や経営計画の重視といった変更が加えられ、より戦略的な活用が求められるようになっています。

1. 申請枠の種類

2025年度は、以下の4つの枠が設けられました。

  • 一般型(通常枠・災害支援枠)
    • 事業の成長を目的とした販路開拓や生産性向上に活用可能。
  • 創業型
    • 創業3年以内の事業者向けの支援枠。事業の基盤づくりをサポート。
  • 共同・協業型
    • 複数の小規模事業者が連携して行う事業活動を支援。
  • ビジネスコミュニティ型
    • 商工会・商工会議所の組織が主体となり、地域の事業者を支援。

2. 補助金額・補助率

  • ・一般型(通常枠):上限50万円、補助率2/3
  • ・創業型:上限200万円(条件次第で最大250万円)、補助率2/3
  • ・共同・協業型:上限5,000万円、補助率2/3(事業者負担あり)
  • ・ビジネスコミュニティ型:上限200万円、定額補助

3. 補助対象となる事業内容

  • ・新規顧客獲得のための販促活動
  • ・業務の効率化につながる設備導入
  • ・オンライン販売システムの構築
  • ・地域資源を活用した商品開発

中小企業成長加速化補助金

中小企業成長加速化補助金は、売上高100億円を目指す成長志向の中小企業を対象に、大規模な設備投資を支援する新たな制度です。

1.補助金の概要

  • 対象者: 売上高100億円を目指す中小企業。
  • 補助上限額: 5億円
  • 補助率: 1/2。
  • 補助対象経費: 工場・物流拠点の新設・増築、イノベーション創出のための設備導入、自動化による生産性向上など。

2.申請のポイント

  • 「100億宣言」の取得: 売上高10億円~100億円未満の中小企業が「100億宣言」を行うことで、補助金の申請が可能となります。
  • 賃上げ要件: 賃上げに向けた具体的な計画を策定する必要があります

地域の補助金制度

ここからはさらに地域にスポットをあてて見ていきましょう。例として弊社の営業所がある東京都、大阪府、愛知県、新潟県が行っている補助金制度をそれぞれ紹介していきます。(2025年3月現在)

東京都中小企業振興公社の助成金

東京都中小企業振興公社では、都内中小企業の支援を目的とした約10〜20種類の助成金制度を提供しています。主なものに、製品開発支援、創業助成、サイバーセキュリティ対策、BCP促進などがありいくつかご紹介します。

製品開発支援

この分野の助成金制度は非常に充実しており、「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」や「新製品・新技術開発助成事業」など、製品開発に伴う設備導入を支援する制度が多数用意されています。

創業支援

創業助成金:都内で創業を予定している方や、創業して5年未満の中小企業者等を対象に、従業員人件費、賃借料、広告費等、創業初期に必要な経費の一部を助成します。

生産性向上支援

デジタルツール導入促進緊急支援事業:中小企業がデジタルツール(ソフトウェア・クラウドサービス)を新たに導入する際の経費の一部を助成します。助成限度額は100万円、助成率は3/4以内です。

設備投資支援

設備投資助成事業:中小企業の生産性向上や事業拡大のための設備導入に対する助成金です。

その他にも知的財産支援、商店街活性化支援、事業承継支援、販路拡大支援など多くのカテゴリーが用意されており、どれかには必ず当てはまるので是非調べてみてほしいポイントとなります。

ここからは弊社の営業所がある地域の補助金をご紹介します。

新宿区の経営力強化支援事業補助金

弊社の本社がある新宿区では、地域の中小企業の競争力を高めるために「経営力強化支援事業補助金」を提供しています。地域経済の活性化に寄与し、企業が新たな市場を開拓するための資金として活用されることを目的としています。

このように各自治体は地域に根ざした企業が持続可能な成長を遂げるために補助金を用意していることが多いので是非帰属している役所に問い合わせしてみることをおススメします。

大阪府企業立地促進補助金(府内投資促進補助金)

弊社の営業所がある大阪では府内で新たに工場や研究開発施設を設置・拡充する中小企業を対象に、補助金額上限3000万円の制度があります。​

名古屋市航空宇宙産業設備投資促進補助金

続いて弊社の営業所がある名古屋では航空宇宙産業に取り組む中小企業を対象に、ソフトウェア購入などで補助上限1,000万円までの制度があります。弊社はnTopという航空事業に導入されているソフトウェアを販売しているのでご利用いただける制度だと思います。2024年度の募集は終了してしまいましたが今後も期待ができるのではないでしょうか。

新潟県の新事業チャレンジ補助金

弊社の営業所がある新潟県では県内の中小企業等が経済社会活動の変化に対応し、新たな商品開発やサービス提供、DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)への取り組みを支援する補助金制度があります。地域課題解決型および重点課題解決型(生産性向上枠)の補助率は対象経費の1/2以内、補助上限額は100万円。 重点課題解決型(DX・GX対応枠)の補助率は対象経費の2/3以内、補助上限額は133万3,000円となっています。

補助金申請の成功ポイント

申請書の書き方: 見やすく理解しやすい内容を

補助金申請書を作成する際は、査定する人が何百、何千と送られてくる申請書を迅速に評価する必要があることを念頭に置いて、見やすい書式を採用し、業界に精通していない方でも理解できるように書くことが重要です。具体的な成果目標や計画を明確に記述し、企業のビジョンと補助金の目的が一致していることを示すと良いでしょう。さらに、申請書には企業の過去の業績を具体的数値も取り入れ、現在の市場での立ち位置を示す情報も含めることで、信頼性や説得性を高めることができます。採択されるには他社との差別化を明確にし、査定する人が目を引くような提案する意識も大事と言えるでしょう。

注目するポイント

申請する際に他にも重要なポイントとして、申請内容の信憑性と実現可能性です。計画の実行に必要なリソースを適切に確保できるか、現実的な目標を設定しているかを示すことが求められます。例えば過去の成功事例やデータを活用して、計画の有効性を裏付けることも有利です。申請内容が具体的で、実行可能なものであることを証明するためには、綿密な市場調査結果や予測データを含めることが求められます。例えば、過去の類似プロジェクトの成功例を引き合いに出し、計画の実現性を強調する方法も有効です。

IT導入補助金での導入事例

弊社はIT導入支援事業者として、SOLIDWORKS製品群や3DEXPERIENCE製品群などの導入を支援しています。毎年たくさんの企業様が弊社を通じて採択されております。例えば、各ソフトウェアを導入することで、試作品を迅速に作成したいと考えている企業様からは、「初期投資を抑えつつ、生産効率を推進することができた。支援してくれて助かった」というお声を多くいただいています。弊社の場合は3Dプリンタも取り扱っているため、「IT導入補助金でソフトウェアを購入し、3Dプリンタと併用することで治具作成が短期間で済み、製品のカスタマイズ性をより高めることができた。顧客ニーズに迅速に応えることが可能になった」という企業様もいらっしゃいます。

IT導入の採択までの流れ

ITツールの選定

  • IT導入補助金の対象となるツールを提供する「IT導入支援事業者」を選ぶ。
  • 自社に適したITツールを決定する。

申請準備

  • gBizIDの取得(申請に必要です。取得に1~2週間ほどかかります。)
  • セキュリティアクションの宣言
  • 事業計画書や補助金申請書類の準備。
  • IT導入支援事業者と協力しながら申請を進める。

補助金申請

  • IT導入支援事業者のサポートを受けながら、オンラインで申請。
  • 申請受付後、審査が行われる。

採択結果の通知

  • 審査を経て、採択・不採択の結果が通知される。
  • 採択された場合、補助対象のITツールを導入開始。

事業実施・報告

  • ITツールを導入し、運用開始。
  • 事業完了後、実績報告を提出。

補助金の受給

  • 実績報告が承認されると、補助金が交付される。

このような流れでCADソフトを導入した企業では、設計業務の効率化により、プロジェクトの納期短縮を実現しました。補助金を活用することで、企業は最新のソフトウェアを導入し、設計から製造までのプロセスが一体化します。これにより、部門間の連携が強化され、迅速な意思決定と柔軟な対応が可能となります。その結果、顧客満足度の向上にも繋がるのではないかとIT導入補助金を利用する方が増えています。

まとめ:最新ニュースと制度変更にご注意を!

中小企業に影響を与えるトレンド

現在、中小企業に影響を与えるトレンドとして、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が挙げられます。補助金を活用することで、DXを加速し、業務プロセスを最適化する企業が増えています。これにより、企業は生産性を向上させ、顧客満足度を向上させることが可能となります。申請するハードルが高いと感じるかもしれませんが、資料を準備する過程で、会社の現状を振り返る良い機会とも捉えられます。この視点を持つことで、また違った見方ができるのではないでしょうか。補助金制度は常に内容を刷新し、詳細が変更になったりと進化を続けています。詳しくは各公式サイトでご確認ください。

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弊社ではIT導入支援事業者であり、中小企業診断士のご紹介もできますので、機材や設備など導入する際に補助金を検討する場合は是非お気軽にご相談ください。

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